ハードル走の練習方法

ハードル走のための柔軟性を高めよう

まずはハードルに必要なストレッチをします。このように前足のつま先は上に、後ろはつま先を外にして、股関節が90度になるようにカエルのような形を作ります。手を使わずにまっすぐ前を向けるようになりましょう。そのまま、腕を振って123!のリズムで身体を前に傾け、何度も繰り返します。

 

 

動画のように下りの斜面で行うと、腰から身体を前に傾けやすくなり、効果的です。

 

 

次に、動画のように前足を折りたたんで、後ろ足の踵を地面からちょっと浮かす運動をしてみましょう。これが上手くできるようになると、抜き足をスムーズに横に向けやすくなります。

 

 

次は、動きの中で抜き足の練習をしていきます。壁やハードルに手をついて、横のハードルを膝を横にしながら抜いていきます。ハードルではなく、低い椅子を使ってもOKです。胸の前までもってきて下ろしましょう。

 

 

ハードル走で最も習得に個人差が出るのが、「抜き足を綺麗に横を向けられるか?」です。どうしても膝を縦に抜いて跳んでしまう子は、特にこれらの練習を頑張る必要があります。

 

ちなみに、水泳の平泳ぎが得意な子は、自然とハードル走の抜き足も綺麗に抜けることが多いです。平泳ぎのキックで必要な動きが、ハードルの抜き足に必要な動きに似ているからです。機会があれば、平泳ぎを練習してみるのも良いかもしれません。

ハードルを正しくまたいでみよう

ハードルを歩きながらまたいでみましょう。まずは前足(リード脚)だけを越える練習です。前足はまっすぐ足裏を常に地面へ見せるように、腕をリズムよく振りながら実施することがポイントです。

 

 

次に後ろ足(抜き足)だけハードルを越えながら歩きます。ストレッチで実施したように、膝を横にして抜いてくることがポイントです。

 

 

慣れてきたら、ハードルの真ん中を「イチニ!」のリズムで素早くまたいでみましょう。手足を空中で入れ替えます。

 

 

その「イチニ!」の動きから、そのまま走り出す練習は、ハードルの着地でブレーキを減らすために効果的です。腰を高く保ったまま、前にダッシュしてみましょう。着地とその後2歩程度、ミニハードルを置いて練習すると、腰を高く、良い動きをキープしやすくなります。

 

前にグーンと踏み切れるようになろう

ハードル走はタイムを競うので、上よりも前に踏み切って、速度をキープする必要があります。

 

動画のように、壁に高さのある障害物を置いて、できる限り遠くから、「グン!」と足裏から壁を押し付けてみましょう。この時、へっぴり腰にならないように、腰ごと前に進めることが重要です。前に踏み切る感じを掴む基礎練習になります。

 

 

次に、ハードルや障害物を5-6m間隔に並べて(長い段ボールなど、幅のあるものが望ましい)、上の練習のイメージで、前に前に踏み切りながら越えていきます。前の敵を膝蹴りするように、空中でピタッと止まる感じで行えると良いです。

 

障害物との間は、足音が「タタン、タタン!」もしくは「ガタン、ゴトン!」となるように走ります。上手くこのリズムで走れない場合は、間隔を調整してあげましょう。このリズムで走れることがハードル走の基本です。身体に染みつけておきましょう。

 

 

どうしてもリズムが分からない場合は、もっと狭めに障害物を置いて、リズムだけ掴む練習をするのも良いでしょう。

 

実際にハードルを跳んでみよう(抜き足、リード足実践練習)

実際にハードル走をすることは、ハードルが上手くなるための一番の練習です。お手本の跳び方をみて、自分の動き方と比べながら、何度も練習することが重要です。

 

初心者では、ゴムバーを用いて遊びの中で練習を積むと良いでしょう。スピードを出した中で越えさせるために、「ゴールまで〜秒以内に走り切ろう」と、課題を与えるようにします。徐々に高いバーにチャレンジしましょう。

 

 

実際のハードル走では、ハードルのバーのリード足側にマーカーなどの印を付けて、そこにリード足の足裏を合わせるように練習すると、ハードルを低く越える良いセッティングになるかもしれません。しっかりと足裏を前に見せましょう。

 

 

 

また、ハードルの横だけを跳ぶことで、リード足、抜き足のみを強調した練習ができます。

 

 

 

 

 

フレキハードルがあれば、片方のバーを高くすると簡単に行えます。

 

 

1台目まで、全力で加速できるようになろう

1台目へ全力でダッシュできることは、ハードルの記録を伸ばすために必要不可欠な能力です。

 

小学生だと、1台目まで9?10歩で走ることが多いので、まずは「12345!12345!」「12345!1234!」など、分かりやすいイメージでリズムを刻んで練習をしてみると良いでしょう。怖がらずに前に跳ぶことが大切です。

 

1台目までの歩数がどうしても合わない場合は、スタートの姿勢の前後の足を入れ替える必要があるかもしれません。

ハードル高、間隔の設定

※2025年度以降、PEACEでの定期測定実施

小学校低学年(50mハードル:PEACEでの練習、測定用)

  • 高さ:50cm
  • スタートから1台目:13m
  • 間隔/台数:5m/5台

 

小学校高学年(50mハードル:PEACEでの練習、測定用)

  • 高さ:60cm
  • スタートから1台目:13m
  • 間隔/台数:6m/5台

低学年でも、記録達成すれば高学年の設定で測定可能です。

 

小学校大会用(80mハードル)

  • 高さ:70cm(県小学生総体では60cm)
  • スタートから1台目:13m
  • 間隔/台数:7m/9台

 

中学男子(110mハードル)

  • 高さ:91.4cm
  • スタートから1台目:13.72m
  • 間隔/台数:9.14m/10台

 

中学女子(100mハードル)

  • 高さ:76.2cm
  • スタートから1台目:13m
  • 間隔/台数:8m/10台

発展練習

逆足でも跳べるようになろう

利き足とは反対足でも上手にハードルを跳べるようになっておきましょう。

 

身体の柔軟性や筋力の左右差が大きくなるのを防いだり、片側に局所的に負荷がかかり続けることを防いで、その後の怪我リスクを下げるためにも有効な試みです。

 

また、中学で陸上を続ける際、ハードル間を4歩(左右交互にハードルを越えられる)で走れるので、3歩でどうしても走れない場合に非常に有利になります。高校以降、400mハードルを選択する際の大きな強みにもなります。

 

2歩ハードルは、左右交互にハードルを越える練習です。実際のハードル間隔よりも2-3m程度短くして実施してみましょう。

 

 

骨盤の引き上げを使えるようになろう

ハードル走では、踏み切りや着地で、骨盤を自然と上手く引き上げられるようになると、さらに腰が高く、減速の少ない走りができるようになります。動画のように膝立ちで、リード足をまっすぐ引き出しつつ、低いミニハードルを越えるようにしてみましょう。骨盤ごと膝を引き上げるようにしないと、上手く越えられない練習です。

 

 

次は、ハードルを動画のように掴んで、そのまま前のミニハードルを越えつつ、腰とリード脚を差し込みます。骨盤ごとリード脚を引き上げつつ、前にたたみかける踏み切りをするためにできた方が良いドリル練習です。前にグッと、できるだけ遠くに移動できるように練習しましょう。

 

 

 

抜き足も、骨盤ごと胸の前までスッと持ってこれるようになると、重心の高い着地につながります。ハードルをナナメに設定して、抜き足をナナメに一発で滑らせるように抜き足練習をしてみましょう。骨盤を引き上げざるを得ず、高い姿勢での着地動作を練習できます。

 

 

骨盤の引き上げ動作の基礎作りには、スパイダーウォークが合理的です。ハードルの足で作られる地面の四角形に、片側の手足を1つずつ入れて、クモのように歩きます。自然と骨盤と上半身の引き上げ動作を学習できます。

 

 

1歩ハードルにチャレンジしてみよう

1歩ハードルは、ハードルの踏み切りと着地だけを連続で繰り返せる効率の良い練習です。これを高いハードルで、広い間隔で実施できるように練習しましょう。「タタン!タタン!」と越えていきます。抜き足やリード足側だけハードルを越えるやり方もあります。

 

 

 

測定会よりも高いハードルを越えてみよう

実践よりも高いハードルを越えることで、腰の高い踏み切りや着地動作、ハードル上での前傾姿勢など、上手いクリアランスを学習する良い環境設定になります。踏み切り力も鍛えられ、一石何鳥にもなる練習方法です。

 

安全なフレキハードルや、ゴムバーでの練習してください。