走幅跳の練習方法

片脚で踏み切って、両脚着地

まずは片脚ジャンプから両脚着地ができるようになりましょう。その場で片脚ジャンプして、両脚で音が1回になるように着地を繰り返します。特に幼児〜小学校低学年では、両脚をそろえての着地が上手くできない子も多いため、まずはこの基本の動きを習得しておく必要があります。

 

 

これを徐々に、走りからの踏み切りで行えるように仕向けていきましょう。目標の場所に〇を書いて、そこに向かって両脚着地するようにしてみましょう。この距離をだんだんと伸ばせるようになってきたら、走幅跳の基本ができてきます。

 

どうしても、ランニングからそのまま踏み切る感じが分からない場合は、助走の部分を簡単なミニハードル走にしてみましょう(最後の2歩はミニハードル無し)。姿勢を崩さず、スピードを落とさず踏み切りしやすい状況を作ることができます。

 

高く踏み切れるようになろう

次に、高く跳ぶ練習をします。踏み切りの少し奥に大きめのカラーコーンやハードル、段ボールなどを置いて、それを超えるようにジャンプしてみましょう。空中でピタッと動きを止める感じで踏み切れると、スピードを落とさない鋭い踏み切りができます。目線は遠くの空、雲を見るようにします。

 

 

余裕が出てきたら、スピードを出して、目標の目印に向かって何度もジャンプをしてみましょう。

 

足を投げ出して、遠くに着地しよう

走幅跳では、最も踏切板に近い砂場の着地跡までが記録になります。なので、できるだけ遠くに足を着いて、それよりも手やお尻が後ろに着いてしまってはいけません

 

ゴムバーを砂場に設置しての練習は、そのできるだけ遠くに足を着くための良い練習です。まずは立幅跳からやってみましょう。膝を抱え込むようにして、両脚を遠くのゴムバーに差し込むように着地してみましょう。足を前に投げ出す感覚をつかみます。

 

 

慣れてきたら、実際の走幅跳の中でゴムバー越えをやってみます。目標の距離の30p手前くらいにバーを設置すると良いでしょう。

 

上手く足を合わせて踏み切ろう@(歩幅調整力を磨こう)

小学校低学年の走幅跳であれば、踏み切った位置から計測してくれる「実測走幅跳」の記録会も多く存在します。

 

しかし、公式の走幅跳では、踏切板から距離が測られます。緑の粘土にはみ出てしまうとファール(記録なし)なので、スピードを出しながらも上手く足を合わせて踏み切れることも重要です。

 

※踏み切りピッタリの場合↓。緑にはみ出すと記録なし。それより手前なら板に足がかからなくても計測される。計測は板と緑粘土の境目から行われる。

 

上手く足を合わせられるようになるためには、走りや踏み切りの中で「上手く足を合わせようとする経験」をたくさん積むことが大切です。縦に長い障害物をおいて、それをジャンプしながら走り抜ける競走をしたり、踏み切り位置に目印と、その奥に高めの障害物をおいて、全力で走って足を合わせて踏み切る練習を行うことも効果的でしょう。砂場が無くても、走幅跳の練習をすることができます。

 

 

 

特に小学生は、急激に背が伸びたり、その日の風向きや強さによって、踏み切りが合う助走距離が大きく変わってしまい、練習で決めた助走距離が全く当てにならないことも多いです。そのため、合う助走距離を探ることだけでなく、どんな状況でもスピードを落とさずに足を合わせられる、踏切板との距離感覚や、歩幅の調整力を磨いておく必要があります。

上手く足を合わせて踏み切ろうA(良い助走距離を探って、スピードに乗ろう)

小学校高学年で、3m程度の記録の場合、助走距離はおおよそ15m〜20m程度で十分なことが多いです。長すぎてスピードが落ちてしまったり、短すぎてスピードに乗れないことが無いように、記録を測りながら、良く跳べる距離を探っていきましょう。

 

基本的には、踏み切りの時に着いた足の位置を誰かに見てもらって、踏み切りが近ければその分助走距離を長く、遠ければその分近くする…を繰り返しながら調整します。

 

どんなに調整しても、踏み切る瞬間に緑粘土を踏み越えてしまう癖がある人は、動画のように踏んでも安全なミニコーンを粘土板に並べて練習してみましょう。どのあたりで踏み切る感じならファールにならないのか?を模索する良い練習設定になります。

 

跳躍力を磨こう

走幅跳は、助走速度が高くて(足が速くて)、高く跳ぶことができれば、良い記録が出せます。なので、実践の走幅跳の練習だけでなく、短距離走を速く走る練習をしたり、色々な跳び方でたくさんジャンプする練習を行うことも大切です。

 

ケンケンで大きく跳んだり、幅のある障害物を等間隔に並べて、全力ダッシュと前へのジャンプを繰り返す「川跳び競走」などもお勧めです。

 

 

 

また、楽しみながら高く跳ぶ基礎を作る良い練習に、ゴム高跳びがあります(安全な場所で、必ず足から着地しましょう)。

 

 

その他、環境があればバスケットボール等のジャンプ運動を多く含む球技をたくさん行うことも良いでしょう。方向を素早く切り返す運動やシュート時の様々なジャンプ動作は、強い踏み切りのためのバネを培う良い刺激です。持久的なトレーニング刺激にもなるため、一石二鳥のトレーニングと言えるでしょう。大して走幅跳の練習をしていなくても、バスケットをやっている子の方が、走幅跳の記録が良いこともしばしばです。

発展練習(高学年、アスリートクラス向け)

腕や腰の引き上げを使おう

跳躍運動では、上半身や片側の骨盤の引き上げ動作によっても、踏み切りの高さを出すことができます。長座や片脚立ちの姿勢から、上半身の引き上げや腰の引き上げだけで身体を浮かせるドリルを実施して、その感じをつかんでみましょう。

 

 

 

上手く骨盤を引き上げることができない場合は、まず長座で、大きく骨盤ウォークができるように練習する必要があります。慣れてきたら立って、膝を伸ばしたまま小さな段差を踏み越える練習をしてみましょう。手に肩を添えて、肩も動かしながらやってみます。

 

 

 

高さを出す踏み切り補助

踏切板のほんの少し手前にスポンジバーを出して、そこに胸が付かないように踏み切りしてみましょう。踏み切りでの若干の後傾動作を仕向けることができます。踏み切りで身体が前に突っ込んでしまって、高さが出ない選手にお勧めです。

 

ただ、バーが手前過ぎたり、腰だけを反ってしまうと腰を痛めてしまうので、バーの位置には注意が必要です。腰だけが反ってしまわないよう、腹筋を鍛えておくことも大切です。

 

 

発展:着地練習

着地でもっと距離を稼ぐためには、かがみながら足を前に投げ出すだけではなく、腰ごと前に投げ出すようにすることにメリットがあります。まずはタオルや棒をもって、座ってズボンを履くような運動を繰り返してみましょう。着地でグッとズボンを履くように足腰を前に投げ出すイメージで行ないます。

 

 

次に、このイメージで腰ごと前に突き出しながらマットに跳び乗る練習をします。マットが無ければ、砂場に大きな山を作って跳び乗ったり、ゴムバーを越える形で行います。

 

 

腰ごと足を前に投げ出すようにしたあとは、着地した位置にお尻を入れる練習をします。せっかく遠くに足を着けたのに、そのままお尻が後ろに落ちてしまっては、距離をロスしてしまいます。イスから膝を柔らかく使って、スッとお尻を入れる練習を繰り返して、その感じをつかんでみましょう。

 

 

立幅跳から、順を追って練習する方法もあります。

 

@「イチ、ニ!」でお尻入れ

 

A「イチニ!!」でお尻入れ

 

B遠くに足腰を突き出して「イチニ!!」でお尻入れ